品川で行われたIT系のフォーラム「IT Japan 2016」に参加してきました。
日立、オラクル、マイクロソフトなどの大企業の代表たちが講演者として並ぶ中、
最も印象に残ったのは基調講演を務めたウーバー日本法人の高橋社長かもしれません。
ウーバーは8年前、アメリカの若者2人が創業。
今や世界70カ国に展開し、総利用数が10億回を超えたそうです。
実は先月私もロサンゼルスを旅行中、ウーバーの競合で今ロサンゼルスで人気沸騰中のLyft(リフト)という個人タクシーアプリを使ってみました。
空港からホテル、ホテルから観光地や最寄駅など、1週間のうち計17回乗車して、使った金額は2万円ほど。車を1週間レンタルすれば、ガソリン代・駐車場代含めて倍以上の金額がかかります。ときには渋滞に巻き込まれてフリーウエイに1時間以上乗っていたこともありましたが、通常のタクシーなら5000円以上はかかるところ半額程度の金額だったのには驚かされました。
極め付けは、街の外れのトレッキングトレイルの入り口まで連れていってもらえたこと。トレイルは小高い山の中にあり、バスを使っていくと1時間半はかかりそうでした。すでに夕方だったので、車で行かないと時間的に無理だったのですが、こんな辺鄙な場所にタクシーが行ってくれるのか、また帰りはすぐに迎えにきてもらえるのか・・。普通だったら不安で諦めてしまっていたかもしれません。とりあえず、スマホ片手に試してみることにしました。
行きのドライバーは辺鄙な目的地に文句を言うこともなく車をスタート。山道でカーナビが頼りにならずしばらく迷っていましたが、嫌な顔ひとつせず自分で地図を調べてどうにかトレイルの入り口に到着。帰りのタクシーがつかまらなければ電話していいよと、最後に名刺までくれる親切な若者でした。
トレッキングを楽しんだ後、帰りのタクシーは特に問題はなく女性ドライバーがすぐに迎えにきてくれました。呼んでから5分で到着というスピード感。暗くなり始めた山の上で、ひとりポツンと待つ身にはとてもありがたく思えました。
よくよく聞いてみると、ドライバーは仕事を受けるまでは、迎えの場所や目的地がどこなのかわからないのだそうです。アプリは近くにいる客とドライバーを繋いでいるだけで、互いを選り好みすることはできません。マッチングが成立しづらいからでしょうが、こうした余計な選択肢を思い切ってそぎ落としたことが成功の理由かもしれません。
日本ではまだまだ色々な規制があり、個人が気軽にドライバーを始めることはできません。
しかし「交通空白地帯」という、タクシー会社の利益がとれない地域では、バスも1日に数本しかなく、高齢の方は買い物に行けず取り残されてしまっているようです。
日本のウーバーは地元のNPOとコラボし、このような地域から試験的にサービスを展開しているそうです。
歩きスマホやSNS中毒など、揶揄されることも多い最近のテクノロジーですが、使いようによっては本当に誰かの生活を良くすることができる。こうしたものこそ社会の中でどんどん推し進められていってほしいと思い、講演会を後にしました。