
モンスターのポートレートを題材として様々な感情を巧みに表現し続ける画家、チェット・ザー氏。

元々はハリウッドのSF映画などでキャラクターの製作をしていました。※写真は映画「Hell Boy*」で製作した腕 (*ギレルモ・デル・トロ監督のファンタジー映画)

近くの保護施設から引き取ってきた愛犬ベラを抱きしめて。掲載誌オーガストより。

人間的感情が見え隠れする、悲哀あふれるモンスターたち。
チェット・ザー氏は、SFやファンタジー映画に出てくるキャラクターをデザインしたり、粘土などを使って彫刻する、特殊メイクアップ・アーティスト/スカルプター。
世界的に有名なギレルモ・デル・トロ監督のファンタジー映画で、モンスターの手の製作を担当したり、「猿の惑星」「X-メン」「ファンタスティック・フォー」などにも関わったことのある実力派です。
モンスターの絵は撮影の待ち時間の間に、趣味として描き始めました。ビジネスの視点を押し付けられがちなハリウッド映画の世界とは別に、自分が納得のいく作品を追求したい。そう思って描いたのが数々のモンスターたちでした。どこか人間らしい悲哀やユーモアを感じさせる作風が、彼の人間性から引き出された”作品の味”となって人気となり、
ロック系のミュージシャンを筆頭にファンが増加。徐々に買い手がつくようになり、ついには画家として生計が成り立つようになったそうです。
彼の描くモンスターは、目が一つしかなかったり、血を流していたり・・・。しかしそのオドロオドロしい作風からは想像できないほど、ザー氏は優しくて、癒し系の人物でした。
ポートレート写真で膝に抱いている片目の子犬も、近くの保護施設から引き取ってきたのだとか。
自らの感性に正直に生きたことが、ニッチな領域で成功を収める結果につながったのかもしれません。